妄想型セクハラ(2)男性の恋愛妄想
中高年の男性は、若い女性が自分に尊敬や信頼の情を寄せるのを異性としての好意だと勘違いしてしまうことがあります。また、自分からそれとなく要求しておいて、女性が全くのサービス精神からしたことを、自分への好意と受け取ることもあります。
たとえば、上司が「家族の誰も俺の誕生日を祝ってくれないんだよな」と愚痴をこぼしていれば、普段世話になっている部下の女性は「祝ってもらいたいのね」と察します。そして誕生日に「これからも素敵な部長でいてください」などというメッセージを書いたカードを添えてデスクにプレゼントを置いておこうものなら、すっかり舞い上がってしまうのです。女性にしてみたら、こうしたことは、お茶を飲みたそうにしている人にお茶を入れてあげるというのと変わりません。しかし、ときめいている男性には冷静な判断ができず、女性が上司や同僚の男性に失礼のないように愛想よくしているだけでも、自分に好意があると錯覚してしまいます。
夏の名所の渓谷に立ち寄った際、女性が水に足を浸すためにスカートを持ち上げただけで、「自分に性的なサインを送っている」、「彼女の方が積極的だった」と思ってしまったりします。牟田和恵著『部長、その恋愛はセクハラです!』(集英社新書)を参照。)