相手からの反撃を恐れる攻撃者たち（DV、モラハラ）

妄想性障害者（パラノイア、偏執病者） や妄想性人格障害者、自己愛性人格障害者といった妄想的な人たちは、自分が悪意をもつ相手からの反撃を恐れるあまり、相手を攻撃しておいて、「相手は恐ろしい人間である。そして私に嫌な態度を取ってくる」と思っているのです。

そして、周囲にそう言いふらしたりもします。

自分の攻撃に驚いた相手から反論されると逆上し、なぜかここで、「相手がすぐに逆上するから、何も言えない」といった話になります。

こういうのを、「投影」と言います。自分の中で起こっている怒りや悪意を、自分が相手に向けているのではなく、相手が自分に向けているものだと錯覚するのです。それで、そういう人たちは相手を攻撃しながら、自分が相手から傷付けられることをひどく恐れています。

相手と対等な立場で喧嘩することなど恐くてできないから、「相手が悪い」と言えそうな言い掛かりや状況を見つけて、「正義」という切り札の背後に隠れて、そこから攻撃してきます。

攻撃者が相手と対等な立場で喧嘩することができないのは、自分の本心がみっともないものであることを、無意識に内心のどこかで知っているからだとしか思えません。自分の本心に目を向けて、正直にそのまま表明したら、「なんてみっともない人なの」ということで終わってしまうだけなので、加害者の欲求は絶対に通りませんし、相手からも軽蔑されます。そもそも加害者自身、自分がそんな下らない人間だとは死んでも認めたくないでしょう。だから、加害者は自分の欲求や本心を上手く言い出せなくて、いつもイライラし、怒っています。

それで、いかにも被害者に落ち度がありそうに見えるシチュエーションを利用して、「この状況なら、怒りを爆発させても自分は安全だ。自分が怒るのは自分がみっともないからではなく、相手が悪いからだ」と思って、怒りスイッチをオンにします。そして、それまで自分が怒らずにきたという理由で、「自分は寛大で、いつも我慢している」と、自分でも思い込みます。そして、自分がなぜ怒るのか、「考えてみろ」と被害者に向かって言ったりします。

このようにして、「みっともない本心」を抱えて「後ろめたさ」を秘めている人からの攻撃に遭う人は、何で攻撃されているのか、訳が分からないような攻撃をされます。

大声を張り上げて怒鳴り続けるのも、相手からの反論を聞かないで済ませるためです。

彼らが被害者を恐れるのは、ある意味では当然で、自分の「みっともなさ」を相手から突きつけられ、それに直面することになったら、おそらく精神が崩壊するのです。だから、絶対にそういうことにならないようにするため、病的なエネルギーをつぎ込んで、悪いことのすべての原因は相手にある、という話にしてきます。

こうした病的傾向の強い人からの攻撃に遭うと、すべての話を正反対にされます。被害者の方が加害者だという話になります。「なんで話が真逆になるんだろう？」と感じることがあったら、相手はこうした精神構造の人だということです。自分の「みっともなさ」を被害者に投影して、被害者を軽蔑している加害者も大勢います。

こうした攻撃に遭う方は、まずは相手が精神異常者であることを認識しておくと良いと思います。正常者に対するように対応してしまうと、被害者の方の頭がおかしくなります。

それから気を付けなければならないのは、病的な人であればあるほど、自分が劣勢になると手段を選ばなくなり、相手に対する攻撃が残虐で犯罪的なものになっていくことです。自分が勝つことに、異様な執念を燃やします。

男女関係の場合、この種の加害者にとっては相手が自分から逃げることも、自分にとっての「恥」や「侮辱」や「失敗」に他ならず、自分が劣勢になることを意味します。ここから先は、「ストーカー」という話になります。