口喧嘩とDV、モラハラ
怒鳴るからと言って、DV(もしくはモラハラ)的な精神的暴力には当たらない場合もありますし、逆に、怒鳴らなくてもそれに当たる場合があります。
相手が聞いたり言ったりしていることに答えずに、相手の人格を侮辱する返し方をする、ということがあったら、それはDVやモラハラの精神的暴力に当たると考えて良いでしょう。
DV加害者専門カウンセラーのバンクロフト氏によると、DV加害者は口論を“闘い”と考えています。つまり、上手くやっていったり理解し合ったりするための話し合いではなく、勝つことが目的です。しかも、より多く喋り、よりひどい侮辱や滑稽な侮辱をして、その口論の結論を牛耳る、という仕方で勝つことを目的にしています。万が一その口論で負けることがあれば、後で全力でその仕返しをしてくるでしょう。
バンクロフト氏によれば、DV加害者の目には、相手の女性は必ずまちがっていると映っています。そして、口論で支配するために、次のような手口を使います。
・皮肉や嫌味を言う
・あざける
・税手の言い訳を歪曲する
・前に話し合ったときに起きたことを歪曲する
・すねる
・自分自身がしていることや思っていることを、相手がしていることだと言って非難する。
・絶対的な確信をもって、偉そうで威張った口調で「事実の定義づけ」をする
・相手が話しているとき口をはさむ
・相手に耳を貸さないし応えない
・相手の意見や見方を大声で笑い飛ばす
・相手が不満を言うと逆手にとって責める
・話題を自分の不満にすりかえる
・いつも辛辣で不当な批判をする
・相手に罪悪感をもたせる
・被害者を演じる
・ニヤニヤ笑ったり、あきれた顔をしたり、軽蔑した表情を浮かべたりする
・わめいたり、怒鳴ったりする
・ののしる
・おとしめる言葉で呼んだり、侮辱したり、見下したりする
・立ち去る
・威張る
・脅しながら接近する
・相手の行く手をさえぎる
・怒ったときに至近距離に迫るなど、さまざまな身体的な脅しをする
・別れると言って脅す
・傷つけると言って脅す
ランディ・バンクロフト著・高橋睦子、中島幸子、山口のり子監訳『DV・虐待加害者の実体を知る―あなた自身の人生を取り戻すためのガイド』、183-184頁。