好かれていると勘違いーモテ妄想男はエロトマニア・ストーカーの可能性あり
女性は自分が好きでもない男性から、「好きだと勘違いされている」と感じることがないでしょうか。こちらの記事(妄想型セクハラ(3)女性が「ノー」と言えない心理 - 歪んだ心理空間における精神的被害)でも書きましたが、そうしたとき、女性はわざわざ相手に問いただして否定するなどということは、しにくいのが普通です。しかし、ストーカー事件に発展する可能性がありますので、注意してください。
ネット上の記事などを見ていると、たまに見かけるのが "モテ妄想ストーカー" です。これは、事情を知っている第三者からすると、失笑せずにいられない人なのですが、本人は自意識過剰で、自分がターゲットの女性からモテていると信じ込んでいます。
「妄想」と「勘違い」には違いがあります。女性が「勘違いです」と言って、すぐに諦めるのは「勘違い男」ですが、「妄想男」になると、ターゲットの女性が「嘘をついている」と言い張って譲りません。相手が「勘違いだ」と言っているのに、絶対に勘違いを解こうとしない人は、異常者です。こうして「モテ妄想男」は、セクハラ&ストーカー男になります。しかも、この種の男性は、自分がセクハラをしているとか、ストーカー行為を行っているという自覚がまったくありません。
世の中にはこうした独り妄想ストーカーもいるので、ストーカーの分類としては、次の二種類に大別することができます。
- 男女関係のもつれによるストーカー(人が少しは理解できるストーカー)
- 男女関係がないのに、あると思っている "モテ妄想" ストーカー
エロトマニア(恋愛妄想、被愛妄想)
"モテ妄想" が執拗で強固である場合、 "エロトマニア(恋愛妄想、被愛妄想)" という妄想性障害である可能性があります。エロトマニアについては改めて取り上げますが、自分が愛されていると思い込む妄想です。その特殊なところは、相手の方から自分を異性として好きになった、という思い込みを抱くことです。
これは "単なる希望的な勘違い" などという他愛ないものではありません。ターゲットがどんなに恋愛感情を否定しても、屁理屈をつけて自分を好きだという話にしてきます。エロトマニア妄想には思考上の歪んだ構造があって、ターゲットのネガティブな反応すら、自分を愛している証拠として受け止めます(この構造も、改めて説明します)。*1
エロトマニア妄想を抱く者には、普段から誰が聞いてもおかしな事を言っている人(統合失調症のような精神病が根本にある人)もいますが、自分がターゲットから好かれているという妄想以外の点では、正常者と変わらなく、ふつうに仕事をしている人たちもいます(パラノイアの人のエロトマニア妄想の場合)。
「頭のおかしな人など、相手にしなければいいじゃないか?」
職場などでエロトマニアの対象にされる女性は、嫌な事をされないように努力するぶん、心理的に巻き込まれてしまい、その結果、甚大な精神的被害を受けますし、職場にもいられなくなるでしょう。
「頭のおかしな人など相手にしなければいいじゃないか」と人は簡単に思うかもしれません。しかし、頭のおかしな人だからこそ、ターゲットにされた人はどんな被害をどのように避けたら良いのか見当がつかず、被害を避けようとどんなに努力しても、避けることができません。
また、エロトマニアはストーカー化して嫌がらせを始めるまでは、自分が愛されているという妄想を胸に秘めていることが多いです。そして、自分の恋愛感情を否認するケースもあります。そのため、被害者は普通の人間関係だと思って接しているうちに、気が付いたら底なし沼のような被害に巻き込まれている、ということになります。エロトマニアが自分の恋愛感情を否認するケースでは、ターゲットが自分に片思いをしていると言ってターゲットに付き纏い、監視、嫌がらせ、脅迫などのストーカー行為を行うようになります。
トラブルになったとき、パラノイア型のエロトマニア妄想者(純粋型のエロトマニアで、クレランボー症候群ともいいます)の場合は、自分の方が被害者だとして、ターゲットを糾弾し、復讐に執念を燃やします。
永遠に続く妄想
女性にとってエロトマニア男性は、「ミミズ」にたとえる学術論文もあるほど、不快な存在です。そもそも被害者にとっては、異性として受け入れていない相手から、自分と男女関係にあるという話にムリヤリ引きずり込まれていること自体、一種の心理的レイプです。配偶者や交際相手から、されたり言われたりして嫌でない事でも、赤の他人の男性から、されたり言われたりするのは、女性にとって変態行為と感じることです。しかも、やめさせようとすると、嫌がらせがエスカレートします。
ストーカー体質の人になると、ターゲットが逃げようとするだけで、自分の方が嫌がらせを受けていると感じ、腹いせや復讐をしなくては気が済まなくなります。このようなストーカーは現実を理解して受け入れる能力がありません。攻撃をやめさせようとすると、憎悪を募らせて、犯罪的な行為に及ぶことがあります。
ターゲットにされた人がしてはいけない事や、対処法などについては、下の記事の最後をご覧ください。
*1:エロトマニア型のパラノイアの人が「投影」(他人を貶める人の心理(2)投影同一視を受けないために - 歪んだ心理空間における精神的被害)を行ってくると、現実を歪曲して、話を完全に逆転させてきます。ターゲットがストーカーを嫌がれば嫌がるほど、ストーカーは自分への強い愛の裏返しだと錯覚して、嫌がらせを激化させるという、怖ろしい現象が生じます。