歪んだ心理空間における精神的被害

モラハラ、DV、ストーカー、セクハラ、性犯罪等における加害者心理と被害者心理

健常者が精神病扱いされる、そして本当に精神病になる(ガスライティング)

 異常者による被害には、いろいろ怖ろしいものがありますが、何といっても、被害者の精神が破綻させられるところです。これはモラハラにありがちなことです。被害者は嫌な目に遭うのを避けようと神経を遣っているうちに、神経がすり減るだけではありません。普通の常識で避けられる被害ではないので、神経をすり減らしたあげく、やはり嫌な目に遭います。しかも、そういうことをしてくる人は、遠慮がないどころか、むしろ相手に最も大きな打撃を与えられそうな事を狙ってきます。いやらしい人になると、法に触れない範囲で、いろんな事を考えてきます。被害者は、次からは同じような目に遭わないで済むように、さらに気を付けるようになります。異常な人になればなるほど、普通の発想では考えられないことを言ったり、したりしてくるのですが、それは、その人に捻じ曲がり歪み切った変なコンプレックスがあるからで、それに由来する発想だからなのです。

 

 こうして被害者は、嫌な被害を防ごうとして、あれこれ努力しているうちに、加害者に精神的に支配されていき、ノイローゼのようになっていきます。加害者の精神異常の世界に巻き込まれていき、被害者の精神も異常になります。特に、加害者の精神の歪み方が激しい場合、それだけの影響を受けます。

 

 怖ろしいことに、このような状態になると、加害者は被害者が自分を不機嫌にさせるのは、被害者が精神異常だからだという話にしてきたりすることです。「あいつが精神異常で、自分は迷惑している、自分は被害者だ」と。

 

 この時、加害者はいじめる側ですので、自分は病院に行ったりしません。でも被害者は苦しさのあまり、病院に行きます。精神科などに行くと、薬を処方されますが、それには病名が付かないといけません。それで、うつ病であるとか、何であるとかいう病名が付くわけです。こうして、被害者の方が、精神に問題があるという話になってしまいます。医師によっては、これがモラハラパワハラといった異常な被害によるものだということを考慮しますが、症状に応じた薬の処方以外、何も関心がないという医師も、おそらく大勢います。基本的に、患者さんの話を聴くのは、薬のさじ加減を調節するためです。

 

  しかし、被害者が精神病者だという話にされるのは、一種の「ガスライティング」です。ガスライティング」というのは、本来なら健全な人に、自分自身の正気を疑わせる一種の心理的虐待です。被害者は、加害者から「頭がおかしい」と言われ、自分でもおかしくなりそうだと思い、専門家の医師に「あなたがおかしい」というお墨付きを与えられたら、完全におかしくなるでしょう。

 

 たとえば、家庭での性的虐待といった外傷体験による「複雑性PTSD」を患っている方は、昔は精神科の医師により、人格障害者のように扱われてしまいました。さらにその昔はフロイトのように、外傷体験がヒステリー患者の空想だという悍ましい話にされたこともありました。

 

 外傷体験や、異常者によるモラハラなどの被害で精神症状が出ている患者さんの場合、その症状が、何のせいなのか、誰が悪いのか、その辺りがハッキリされないと、患者さんにとって、治療がまるで、ガスライティングになってしまいます。

 

 特に、モラハラの被害者や、PTSD心的外傷後ストレス障害)を抱えている方は、加害者によって、自分が悪いのではないか、と思わされています。医師は決して、患者さんの性格のせいで、そんな目に遭うはめになっているとか、病気もなかなか治らないとかいう話にもっていってはいけないと思います。

 

 逆に、これらの患者さん方は、「自分が悪いのではないか」、「自分に落ち度がある」、「自分は汚されてしまい、汚れている存在だ」というように自分を責めています。そこで、医師は「そうした考えこそ、すべて間違っている」、「あなたにそんな錯覚を与えている人の方がおかしい」、「あなたには何の落ち度もない」ということを精神医学的に説明して、患者さんを安心させてあげるべきではないかと思います。そして、それは可能だと思うのです。